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medium 霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼 / 2019 / 小説

読者が誤認するもの

人物›人物の誤認›一人を複数
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層メタ
叙述N-人物の同一と別
媒体固有T-小説/呼称の揺れ
効果E-別の名前は別の人物E-犯人の内心は描かれないE-探偵は物語の外にいる

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

推理作家・香月史郎が、霊媒を名乗る城塚翡翠と組んで三つの事件を解決していく本編の合間に、「インタールード」と題された短い断章が挟まれる。断章は世間を騒がせる連続死体遺棄事件の犯人の側から描かれ、そこでは犯人が「鶴丘文樹」という名で呼ばれている。

終盤、この鶴丘文樹が香月史郎その人であったことが明かされる。本編では「香月」、断章では「鶴丘」と、同じ人物が場所ごとに別の名で呼ばれていたため、読者は二人を別人として数えたまま読み進めることになる。二つの名は、文字を組み替えると対応する関係にある。

なお終盤では、翡翠の「霊視」が実は推理の産物であり、彼女こそが探偵役であったことも明かされる。ただしこちらは、翡翠が作中で香月に対して演じていた欺瞞であり、視点人物である香月がそれを信じたまま語られていたことから読者にも及んだものである。叙述の仕掛けとして成立しているのは、上記の「一人を二人と数えさせる」層である。

騙しの技術

  • 断章では犯人を一貫して「鶴丘文樹」の名で記し、本編では同じ人物を「香月」の名でのみ記す。名前を明示すること自体が、本編の人物とは別人だという印象を強める
  • 断章の犯人には外見の手がかりを与える一方、本編の視点人物である香月の容姿はほとんど描かれない。比較の材料が片側にしかないため、二人を重ねる手がかりが生まれにくい
  • 断章の犯人が「彼女の側にいる人間」を邪魔に思う独白を置き、翡翠のそばにいる香月が犯人にとっての障害であるかのように読ませる
  • 本編では香月が事件を推理し解決する側に置かれ続け、内心も描かれる。読者は、推理する視点人物を犯人の候補から外したまま読む

フェアプレイの担保

  • 二つの名は文字の組み替えで対応しており、名前そのものが手がかりになっている
  • 断章と本編の双方で、死後の世界への関心という同じ傾向が示されている
  • 第一話で香月が警察に DNA を提供したことと、その後の犯行で証拠の処理が入念になったことが、時期の一致として結びつけられるよう配置されている
  • 本編の記述は、真相を知って読み返すと別の意味にも取れる言い回しを含むと指摘されている

効き目

  • 視点人物として読者と行動を共にし、事件を解いてきた人物が、断章で追われてきた連続殺人犯本人だったという反転になる
  • 同時に翡翠の側の反転(霊視が推理だった)が重ねられるため、終盤で物語像が二重に塗り替えられる

弱点・破綻しやすい点

  • 名前を明示した断章、視点人物の容姿の不在、シリアルキラーとの対決という筋立ての要請などから、途中で見当がつく読者が少なくない。読者の評価は、驚かされたかどうかで大きく分かれている
  • 真相を構成要素に分けると、視点人物が犯人、探偵役が犯人、助手役が真の探偵、と前例のある型の組み合わせであるとの指摘がある
  • 帯の「すべてが、伏線。」という惹句が、伏線を探す読み方を誘い、かえって見破りやすくするとの指摘もある

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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