類別叙述トリック集成

一覧 / GOTH

GOTH

乙一 / 2002 / 小説

読者が誤認するもの

人物人物の属性種・年齢
人物人物の誤認複数を一人・入れ替わり・XをY
人物人物の隠匿視点人物の隠匿
詳しい分類を見る
メタ
叙述N-人物の属性N-人物の同一と別N-語り手の正体
媒体固有T-小説/一人称の空白T-小説/章題と目次
効果E-語り手は人間であるE-語り手は名前で示された人物E-同じ名前=同じ人物
手段M-人物すり替え

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

先に作品にあたるなら、こちらから。

仕掛けの要約【ネタバレ】

連作短編集である。複数の短編に、それぞれ別の仕掛けが置かれている。

死に惹かれる少女と、殺すことに惹かれる少年。

二人が猟奇的な事件に関わっていく連作。

一冊の中で、少なくとも4種類の異なる誤認が設計されている。

種の誤認

ある短編では、読者は語り手を犬の視点として読む。

実際には人間の少女であり、犬なのは別の存在である。

年齢の曖昧さが使われている——

犬の寿命と少女の年齢が重なる範囲に、記述が収められている。

双子の入れ替わり

別の短編では、死んだのは一方だと読者が思っているが、もう一方だった

人物の取り違え

別の短編では、埋められていたのは主要人物だと読者が思っているが、別の少女だった

語り手の同一性

別の短編では、読者が同一人物だと思っていた二人が、別人である

少女と一緒にいる少年を、読者はそれまでの語り手だと読む

騙しの技術

属性が重なる範囲に記述を収める。

種の誤認では、犬にも人にも当てはまる記述だけで場面を作っている。

年齢・行動・感覚——いずれも両方に解釈できる範囲に留めてある。

作り手は嘘を書いていない。読者が一方に決めている。

一人称の「私」「僕」を、誰にも紐づけない。

名乗らせず、他者から呼ばれる場面を作らない。

連作であることを利用する。

同じ登場人物が続けて出てくるため、

読者は「今回もあの語り手だろう」と前提する。

前の短編で作られた了解が、次の短編の仕掛けに使われている。

一冊の中で手を変える。

種・双子・取り違え・同一性——同じ手を繰り返していない。

一つ見抜いた読者も、次では別の型に当たる。

フェアプレイの担保

フェアかどうかの評価が分かれうる

効き目

弱点・破綻しやすい点

読む順序が変われば、前提の作られ方も変わる

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

関連する型電氣人間の虞叙述トリック短編集葉桜の季節に君を想うということ

← 一覧に戻る