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倒錯の帰結

折原一 / 2004 / 小説

読者が誤認するもの

体裁›本編の外だと思う場所›製本
体裁›入れ子›作中作
時間›時系列の誤認›順序
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層複合
叙述N-語りの階層N-時間の順序
媒体固有T-小説/製本と物理T-小説/記録という体裁T-小説/章題と目次T-共通/語り手の信頼性
効果E-本は一方向に読むものであるE-挿入される断章は本編と対応しているE-語り手は正しく知覚している

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

一冊の本に、三つの小説が入っている。

  • 前から読むと、一つ目の小説が始まる
  • 本を180度ひっくり返して裏から読むと、二つ目の小説が始まる
  • 二つの小説の終わりが出会う真ん中に、袋とじで三つ目が封じられている

表題作は、その袋とじの中にある。

読者は本を一方向に読むものとして扱う。

その前提が、物理的に裏切られている。

二つの小説は互いに関係しており、

現実と妄想と時系列が混ざり合う形で提示される。

騙しの技術

本の向きを使う。

紙の本は、上下も前後も物理的に決まっている。

読者はその決まりを疑わない。

→ ひっくり返すという操作が、読書行為そのものに組み込まれている。

終わり同士を出会わせる。

二つの物語が、それぞれの終端で向かい合っている。

その接点に第三の物語が置かれている——

配置そのものが構造を語っている。

袋とじで封じる。

真ん中の小説は、物理的に切らなければ読めない。

読者は「切る」という不可逆な行為を経て、最後の層に入る。

→ 読む順序が、物理によって強制されている。

読む順序を指定する。

「一つ目 → 二つ目 → 袋とじ」の順が推奨されている。

指定があるということは、別の順で読むことも可能ということである。

→ 順序が読者に委ねられている部分がある。

フェアプレイの担保

  • 三つの小説の存在は、本を手に取れば物理的に分かる
  • 読む順序は明示されている
  • ⚠️ ただし電子書籍では、この構成の大半が失われる

効き目

  • 「本を裏返す」という身体的な行為が、そのまま作品体験になっている
  • 袋とじを切る行為が、最後の層に入る儀式として働く
  • シリーズ三作目であるため、前二作を読んだ読者の身構えを前提にできる

弱点・破綻しやすい点

  • 電子書籍で成立しない。 物理の本でしか体験できない
  • シリーズ前二作を読んでいないと効果が落ちるという指摘が複数ある
  • 「叙述ミステリを読み慣れていない読者には伝わらない」という評がある

→ 観察メモ★21(効き目は受け手の状態で決まる)の実例

  • 現実と妄想が混ざるため、整理しきれないという読者が多い

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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