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生者と死者

泡坂妻夫 / 1994 / 小説

読者が誤認するもの

体裁›本編の外だと思う場所›製本
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層メタ
叙述N-語りの階層
媒体固有T-小説/製本と物理
効果E-一冊の本に本文はひとつ

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

紙の本という物体そのものが仕掛けになっている作品。

本の大部分が袋とじで綴じられている。

切らずにそのまま読むと、短い小説として最初から最後まで成立する。

読み終えたあとに袋とじを切り開くと、同じ本から長い小説が現れる。

そして切り開いた時点で、先に読んだ短い小説は物理的に消える。

その文章は長い小説の一部として組み込まれ、独立した作品としては存在しなくなる。

読者は一冊の本に本文はひとつだけ収められていると考える。

その前提そのものが仕掛けの標的になっている。

騙しの技術

ページの綴じ方で、読める文章を切り替える。

袋とじのままなら見開きの外側だけが読まれ、切り開けば内側が現れる。

同じ紙に印刷された文字の、読まれる順序と範囲が物理的に変わる。

先に読ませる順序を、本自体が指定する。

「まず切らずに読むこと」という指示が本に付されている。

読者の行為(切る/切らない)が作品の一部として設計されている。

短い小説を、独立した作品として完成させる。

切らずに読んだ状態でも物語として成立しているため、

読者はそれを一つの完結した作品として受け取る。

だからこそ、それが長い小説に吸収されて消えるときの落差が生まれる。

フェアプレイの担保

  • 仕掛けの存在は最初から明示されている。隠されているのは中身であって構造ではない
  • 読み方の指示が本に付されており、読者は手順を知った上で読む
  • 短い小説として読んだ文章は、長い小説の中でも同じ文章のまま現れる

効き目

  • 電子書籍でも図書館の本でも再現できない。紙の本を自分で買い、自分で切るという行為が要る
  • 短い小説が長い小説に吸収されて「消える」体験が、読み進めるあいだに繰り返し起きる
  • 仕掛けが物理的であるため、読者の身体的な行為が読書体験に組み込まれている

弱点・破綻しやすい点

  • 本を切るという不可逆な行為が必要。切ってしまうと元の読み方には戻れない
  • 「切りたくない」という読者が実際に多く、仕掛けの半分しか体験されないことがある
  • 復刊・電子化のたびに再現が問題になる。媒体依存が極限まで高い
  • 図書館・古書での流通に向かない(切られた状態と切られていない状態が混在する)

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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