類別叙述トリック集成

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厭魅の如き憑くもの

三津田信三 / 2006

ネタバレ度:致命
複合
叙述N-人物の同一と別N-語りの階層N-語り手の正体N-語り手の信頼性
媒体固有T-小説/記録という体裁T-小説/呼称の揺れT-小説/組版と書式
効果E-挿入される断章は本編と対応しているE-別の名前は別の人物E-語り手は正直
手段M-人物すり替え
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

「◯◯の日記」は、◯◯が書いた日記なのか。

本編は複数の記録で構成される——手記・日記・見聞の記録

読者はそれぞれを、題に付された名前の人物が書いたものとして読む。

しかし「◯◯の日記」という題は、 「◯◯が書いた日記」とも「◯◯を観察して付けた日記」とも読める。

さらに、その日記は途中までが実際の日記であり、

それ以降は後から回想の形で書かれたものである。

同じ一つの文書の中で、性質が途中から変わっている。

そして双子がいる。

12年前に死んだとされていた人物が、実は生きていた。

双子の一方が他方と取り違えられていたためである。

生きていた側が、もう一方のふりをして殺人を行っていた。

騙しの技術

所有格を曖昧なまま使う。

「◯◯の日記」——日本語の「の」は、 書き手を示すのか、対象を示すのかを決めない。

文法が仕掛けを支えている。

文書の性質を途中で変える。

前半は同時進行の日記、後半は回想。

同じ一つの文書だと読者が思っている間に、 記述の信頼性の質が変わっている。

難読の名前を大量に置く。

土地の名・家の名・人物の名が、難しい漢字で、似た音で並ぶ。

読者の注意が「誰が誰か」の識別そのものに吸われる。

その負荷の下で、書き手の帰属という問いは後回しになる。

「死んだ」という前提を村ぐるみで固定する。

12年前の死は、村の共通認識として扱われる。

共同体が「いない」ことにしている人物は、 他の人物の口から名指されない。

言及されないことが、不在の証拠に見えてしまう。

探偵役に外させる。

探偵役は推理を何度も外し、試行錯誤の末に真相に至る。

探偵が誤ることで、読者は「まだ答えは出ていない」と思い、 すでに出ている手がかりを保留してしまう。

フェアプレイの担保

(露骨さが逆に「これは誘導だろう」と読ませ、無効化されている)

効き目

弱点・破綻しやすい点

「叙述トリックのところが分かりにくかった」という評が複数ある

仕掛けが届く前に読者が疲れる危険

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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