類別叙述トリック集成

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首無の如き祟るもの

三津田信三 / 2007

ネタバレ度:致命
複合
叙述N-人物の属性N-人物の同一と別N-語りの階層N-語り手の信頼性
媒体固有T-小説/記録という体裁T-小説/一人称の空白T-小説/呼称の揺れ
効果E-語り手は正直E-別の名前は別の人物E-筆名は書き手の属性を示すE-挿入される断章は本編と対応している
手段M-人物すり替えM-共犯と証言
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

性別の誤認が、二重に仕掛けられている。

一つ目——男女の双子として紹介される兄妹の、性別が逆である

女として生まれた側が、男として育てられている

二つ目——作中に登場する書き手が、女性名の筆名を使う男性である

同じ「性別を誤らせる」という一手が、 作中の人物と、作中の書き手の両方に掛けられている。

さらに本編は発見された文書という体裁を取る。

作中作から発展した形で提示され、記述者は複数いる

その中には事件の当事者も含まれている。

記述者たちはそれぞれ、自分に都合の良い範囲の真実だけを書いている。

騙しの技術

性別を「書かない」のではなく、「育てられ方」で示す。

名前・呼ばれ方・振る舞い・立場——

周囲の扱いがその人物の性別を告げてしまう。

読者は本人の身体ではなく、扱いを見て性別を決めている。

筆名を使う。

女性名で書かれた文章は、女性が書いたものとして読まれる。

筆名は作品の外側にある名前であり、本文ではない。

読者は本文を疑っても、署名を疑わない。

記録という体裁を取る。

「これは発見された文書である」という枠を置くことで、

書き手には省略する権利が生じる

書かれていないことがあっても、不自然にならない。

記述者を複数にする。

誰がどこを書いたのかを追うことに読者の注意が向く。

注意が「誰が書いたか」に向くほど、 「何が書かれていないか」への注意が減る。

当事者に書かせる。

記述者の中に事件の当事者がいる。

その人物が書いた部分は、嘘ではないが、選ばれている。

フェアプレイの担保

手がかりが機能していることの証明になっている

効き目

伏線の数が多いほど、解けたときの効果が大きい

探偵役本人なのか別の何かなのかが確定しない。

ミステリとホラーの境界を意図的に残している

弱点・破綻しやすい点

動機が弱いと、仕掛けのための設定に見えてしまう

整理できない読者には仕掛けが届かない

(確定しないものは検証できない)

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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