仕掛けの要約【ネタバレ】
プレイヤー自身が、作中の仕組みの一部として組み込まれている作品。
作中では、離れた場所や時間にある意識が繋がりうるという仮説が語られる。
プレイヤーはそれを作中の設定として受け取る。
実際には、その役割を担っているのはプレイヤー自身である。
複数の周回で得た情報を、プレイヤーが次の周回へ持ち込む——
その行為が、作中では時を隔てた二つの意識が繋がる現象として起きている。
つまり周回・分岐・やり直しというゲームの手続きが、そのまま作中の現象の正体になっている。
真の結末に到達するには、前の周回で見たことを覚えている必要がある。
覚えているのはプレイヤーであって、作中の人物ではない。
加えて、携帯機の機能に依存した演出が用いられており、
移植版でもそのまま持ち込まれたために、その場面は本来の形で成立しないと指摘されている。
仕掛けが機種そのものに結びついている証拠といえる。
騙しの技術
ゲームの手続きを、作中の現象として二重化する。
周回してやり直すのは、プレイヤーにとって当たり前の操作である。
当たり前すぎて、それ自体が物語の内容だとは考えない。
仮説を作中で説明しておく。
意識が繋がるという理屈は作中で語られる。
プレイヤーはそれを登場人物の身に起きる話として聞き、
自分がその役を担っていることに気づかない。
前の周回の情報を、進行の条件にする。
特定の結末に到達するには、以前の周回で得た知識が要る。
知識を持っているのはプレイヤーだけであり、
その非対称性がそのまま仕掛けとして機能する。
機種固有の機能を、演出として使う。
その機種でしか成立しない提示のしかたが用いられている。
フェアプレイの担保
- 意識が繋がるという仮説は作中で明示されており、後出しではない
- 周回して情報を集める構造は、プレイヤーが最初から体験している
- 真の結末への条件は理不尽ではあるが、作中の理屈と一致している
効き目
- プレイヤーの行為そのものが物語の内容だったという反転。
小説では成立しない、ゲーム固有の仕掛け
- 「周回するのが面倒」という体験上の負担が、そのまま作中の必然に変換される
- 機種依存の演出により、その機種でしか完全な形にならないという強度を持つ
弱点・破綻しやすい点
- 分岐条件が分かりにくいという批判が強い。到達できなければ仕掛けも届かない
- 周回のたびに同じ手続きを繰り返す必要があり、負担が大きいという指摘が複数ある
- 移植で仕掛けが目減りする。 機種の機能に依存した部分は作り替えが利かない
- 未回収の要素が残るという指摘がある