仕掛けの要約【ネタバレ】
二人の主人公の物語が交互に語られる。プレイヤーはこれを同じ事件を二つの視点から見たものとして読む。
実際には両者は同じ場所で17年の隔たりをもって起きた、別々の出来事である。
さらに、その二つを重ねて読んでいる「視点」そのものが作中に位置を持つ。
時系列に縛られず全体を俯瞰する観測者が設定されており、プレイヤーの立ち位置が そのまま物語内の存在として回収される。二重の仕掛けになっている。
騙しの技術
ジャンルの慣習を、そのまま伏線隠しに使う。
- ノベルゲームでは主人公の立ち絵や顔を描かないのが通例である。この作品はその慣習を利用し、
主人公を可視化しないまま進行する。描かないことが不自然に見えないため、
姿・年齢・同一性を伏せても読者は疑問を持たない
- 二人の主人公に同じ声があてられており、聴覚の手がかりが誤認を補強する方向に働く
- 一方の時代の登場人物の中に、他方の主人公と同じ名を名乗る別人物が配置されている
- 同名の人物が略称でのみ呼ばれることで、二つの時代の別人が同一人物として読まれる
時間の隔たりを、設定で不可視にする。
作中の事情により一部の人物が加齢しない。そのため17年の差があっても外見の矛盾が生じず、
時系列がずれている手がかりが外見から得られない。
周回構造そのものが仕掛けの一部。
複数のルートを踏破して初めて全体が開示される構成になっており、
プレイヤーが断片を集める行為自体が、俯瞰する観測者という設定と噛み合っている。
フェアプレイの担保
- 二つの時代の日付は、曜日の並びが一致する年が選ばれている(17年差はこの条件から導かれるとする指摘がある)。
作中の日付表記は誤りではなく、照合すれば差に気づける
- 加齢しない理由は作中で説明される設定であり、後出しの言い訳ではない
- プレイ後の評として「まるっきりブラフな情報が(多分)無かった」という指摘がある[^1]。
誤認は嘘の記述ではなく解釈の誘導によって成立している
- 説明のつかない現象として提示される事象のいくつかは、
観測者が二つの時代を取り違えていることの帰結として、後に整合的に回収される
効き目
- 媒体そのものを疑わせる。 誤認の原因が文章ではなく「ノベルゲームとはそういうもの」という
プレイヤー側の慣れに置かれているため、真相を知るとジャンルへの信頼が反転する
- プレイヤーの立ち位置が作中で回収されるため、騙されたこと自体が物語の主題に接続する。
仕掛けが技巧の披露に終わらず、テーマと同じものを指している
- 全ルート踏破という手間が、そのまま真相到達の条件になっている
弱点・破綻しやすい点
- 他媒体へ移すのが難しい。 主人公を映さない慣習が存在しない媒体では、同じ隠し方ができない
- 加齢が止まる、俯瞰する観測者が存在する、といった前提を受け入れる必要があり、
設定の負荷が高い。この点を「非現実的な要素が積み重なりすぎる」と評する意見もある
- 主人公が可視化されないことに慣れていないプレイヤーには、隠蔽の意図が透けやすい
- 引用元
- [レビュー・感想] 「Ever17 クリア後の感想」(note)
https://note.com/ever17_2024/n/n333d34d5780f (確認 2026-08-04)