類別叙述トリック集成

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フーダニット・クインテット

円居挽 / 2018

ネタバレ度:致命
複合
叙述N-語り手の正体N-人物の属性N-動機と心理
媒体固有T-小説/一人称の空白T-共通/予告と挑戦T-共通/囮の仕掛け
効果E-語り手は物語の外にいるE-画面に出ない人物はその場にいないE-プレイヤー=主人公E-探偵は物語の外にいる
手段M-隠蔽と隠し場所M-心理誘導
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

短編集『語り屋カタリの推理講戯』の収録作。

作中で行われているのは、ゲームの中の殺人事件を推理するという趣向である。

語り手役の人物が、犯人当ての講義をしながら進む。

### 二重になっている

① 作中の謎——カメラマンが犯人

容疑者は一旦「プレイヤー」に限定される。

だがそれは真犯人を隠すミスディレクションだった。

プレイヤーが全員除外されたあと、

「見えない人」としてのカメラマンが犯人だと指摘される。

② 読者への仕掛け——語り手が隠されている

地の文から一人称の代名詞が徹底して省かれている。

→ 一人称の叙述が、三人称に見える。

そして冒頭の描写で、カメラマンの存在がかすかに匂わされている。

### そして構図が反転する

ここまでは、先行する〈カメラマンの隠匿〉と同じである。

本作の見どころは、その先にある。

最後に問われるのは——「そのカメラマンは、なぜ殺されたのか」。

「カメラマンが犯人」から「カメラマンが被害者」へ、構図が反転する。

しかも、犯行の動機が仕掛けそのものである。

カメラマンは他のプレイヤーにとって盲点になる——

犯人は、その立場を手に入れるために、本物のカメラマンを殺した。

「見えない人」であることに、作中での必然性が与えられている。

### 先行研究の要約

「“視点人物が犯人だった”のではなく、“犯人が視点人物になった”」

騙しの技術

一人称の代名詞を、地の文から省く。

日本語は主語を省略できる。

→ 一人称と三人称の区別がつかない文が書ける。

存在をかすかに匂わせておく。

冒頭でカメラマンの気配を残す。

隠し通していない。手がかりは置かれている。

属性で容疑者を絞らせ、その絞り込みを囮にする。

作中の講義で「犯人当てでは属性が重要だ」と説かれる。

→ 読者は属性で容疑者を限定する。

その限定そのものが、真犯人を外に出す装置である。

講義の中に、ヒントを置く。

「賢明な犯人は自分の属性を偽装する」

「なりすましプレイヤーが存在してもおかしくない」

答えが講義として語られている。

読者は「作品世界のルール説明」として読み流す。

(観察メモ★2・TDB-0080 と同じ設計)

慣れた受け手ほど気づきにくくする。

ゲームに慣れたプレイヤーほど、カメラマンを意識から外す。

初心者のほうが正解しやすい構造になっている。

(観察メモ★45「外側の知識は油断も生む」の実例)

フェアプレイの担保

効き目

→ 前例では「読者から隠されている」以上の意味がなかった

弱点・破綻しやすい点

→ 先行研究は「複数の前例がある」と明記している

読み返してみませんか。

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