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歳時記

依井貴裕 / 1991 / 小説

読者が誤認するもの

人物›人物の誤認›複数を一人
人物›人物の隠匿›第三者の隠匿
体裁›入れ子›作中作
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層複合
叙述N-語り手の正体N-人物の同一と別N-語りの階層
媒体固有T-小説/一人称の空白T-小説/記録という体裁T-小説/呼称の揺れ
効果E-一人称は同一人物E-別の名前は別の人物E-語り手は名前で示された人物
手段M-人物すり替えM-隠蔽と隠し場所

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

作中作に、二種類の人称の偽装が同時に仕掛けられている。

仕掛け内容
三人称に見せかけた一人称語り手が自分を名乗らず、外から書く
一人称に見せかけた三人称一人称に見える記述が、実は別の人物についてのもの

この二つを組み合わせることで、ある登場人物の存在が消える。

一人称パートの語り手を、別人だと読ませる

一人称パートの語り手は、人称代名詞と紛らわしい名前を持っている。

そのため、名前が出ていても代名詞として読み流される。

三人称パートが、誤認を固める

三人称パートで、その人物は属性で言及される。

その属性が、別の登場人物にも当てはまる。

→ 読者は、そちらの人物のことだと読む。

二人一役の誤認が、二つ重ねて仕掛けられていることになる。

名前が二つある

隠された人物は、通名を持っている。

本名と通名の二つがあることで、呼称の使い分けが自然に見える。

騙しの技術

人称代名詞と紛らわしい名前をつける。

名前が書いてあっても、読者は代名詞だと処理する。

→ 書いてあるのに読まれない。

二種類の偽装を、逆向きに組み合わせる。

一方は「一人称を三人称に見せる」。

もう一方は「三人称を一人称に見せる」。

→ 両方向から挟むことで、人物の輪郭が消える。

属性で言及して、別人に当てはめさせる。

名前ではなく、立場や関係で呼ぶ。

→ その属性を持つ別の人物がいれば、そちらに吸収される。

通名という制度を使う。

名前が二つあることに、作中の現実的な理由がある。

→ 呼び分けが不自然にならない。

フェアプレイの担保

  • 名前は書かれている。読者が代名詞として読み飛ばしているだけ
  • 通名の存在は、作中の設定として提示できる範囲にある
  • ⚠️ 通名の選び方が、仕掛けに都合よくできすぎているという指摘がある

効き目

  • 二方向の偽装を組み合わせた例は珍しい
  • 人称代名詞と紛らわしい名前という着眼が、日本語に固有の資源になっている
  • 通名という制度に着目した点は、巧みだと評価されている

弱点・破綻しやすい点

  • ⚠️ 通名の設定がご都合主義だという指摘
  • ⚠️ 一部の台詞が不自然だという指摘
  • 名前が代名詞と紛らわしいという仕掛けは、翻訳では成立しない

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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