類別叙述トリック集成

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どこの家にも怖いものはいる

三津田信三 / 2014

ネタバレ度:致命
複合
叙述N-場所の同一と別N-語り手の正体N-語りの階層N-時代と時期
媒体固有T-小説/記録という体裁T-小説/章題と目次T-共通/囮の仕掛け
効果E-語り手は生きているE-同じ怪談は同じ場所の話E-章題は物語上の位置を示すE-語られた出来事は実際に起きている
手段M-隠蔽と隠し場所M-心理誘導
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

五つの実話怪談が集められる。

幽霊屋敷にまつわる話が五つ。

時代も、場所も、登場人物も、すべてばらばらである。

それなのに、どこか似ている。

作家と編集者が、その共通点を探していく。

読者は当然、「五つの別々の家の話だ」と読む。

題名がそう言っているからである——『どこの家にも怖いものはいる』。

真相——すべて同じ場所の話である。

怪異の主が同一であるだけでなく、場所も同一だった。

そして、資料には偽の地名が書かれていた。

### 「異次元屋敷」——語り手が死者である

収録された二つ目の話。

少年の語りとして提示される。

真相——それは死者の語りだった。

その原稿の「成り立ちが、とても変わっている」と作中で説明される。

先行研究は「一種の叙述トリックといってもいいのかもしれない」と述べている。

騙しの技術

題名で嘘をつく。

『どこの家にも怖いものはいる』。

「どこの家にも」——複数の家の話である、と題名が宣言している。

先行研究は「題名からしてミスディレクションになっている」と述べている。

本文の外側に嘘が置かれている。

(観察メモ★19「作品外の一覧に嘘」の、題名版)

「共通点探し」を主題にする。

作中の問いは「五つの話はどう繋がっているか」である。

この問いを立てた時点で、 「五つは別々のものだ」という前提が固定される。

繋げる作業に集中している間、 「そもそも一つではないか」とは考えない。

答えの半分を、先に与える。

怪異の主が同一である、という真相は、 多くの読者が予想できる程度に開かれている。

受け手は「解けた」と思う。

そこで探索が止まり、場所も同一だという可能性には進まない。

T-共通/囮の仕掛け。囮が「正解の一部」である点が特殊)

偽の地名を書く。

資料に、実際とは違う地名が記されている。

そして「なぜ偽の地名を書いたか」に、 怪談ならではの理由が用意されている。

嘘に、作中の合理的な動機がある。

(観察メモ★22)

実話怪談という形式を使う。

実話怪談は、出所も時期も語り口もばらばらなのが自然な形式である。

ばらつきが、形式の性質として受け流される。

(TDB-0075と同じ資源)

年齢の記述で誤導する。

ある話に「七、八歳くらいの子ども」という記述がある。

同一性の判定を狂わせる。

フェアプレイの担保

効き目

買う前から、読む前から、誤導が始まっている

弱点・破綻しやすい点

★29(成立と規範は別)の実例。成立はするが、規範には触れる

ただしこれは弱点であると同時に、囮として機能している

(接点のない人物の名を口にする場面)

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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