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女王様と私

歌野晶午 / 2005 / 小説

読者が誤認するもの

体裁›本編の外だと思う場所›装丁
現実と非現実›現実だと思ったら非現実
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層メタ
叙述N-語りの階層N-行為の偽装
媒体固有T-共通/予告と挑戦T-小説/章題と目次T-小説/装丁と外装T-共通/語り手の信頼性
効果E-章題は物語上の位置を示すE-語り手は正しく知覚しているE-語られた出来事は実際に起きている

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

本書は三つのパートに分かれ、それぞれに題が付いている。

  • 「◯◯のうんざりするような現実」
  • 「◯◯のめくるめく妄想」
  • 「◯◯のまぎれもない現実」

題名が、そのパートの性質を明示している。

本書の大部分を占めるのは「妄想」と銘打たれたパートである。

つまり、隠していない。最初から「これは妄想だ」と告げている。

にもかかわらず、読者は騙される。

理由——「妄想」のパートが、妄想らしく感じられないからである。

細部が構築され、特殊な規則が導入されながらも、

その内部で整合が取れている。

→ 読者はそれを「もう一つの現実」として読んでしまう。

さらに、表紙と裏表紙の見返しに、会話が印刷されている。

それは本来、本文の途中に挿入されるべき「現実」である。

→ 本文の外側に、真相の一部が置かれている。

騙しの技術

題名で告げる。

「妄想」と書いてある。隠していない。

→ それでも成立する(叙述トリック短編集・星降り山荘の殺人 と同じ型)。

妄想の内部で整合を取る。

「何でもあり」にしない。

特殊な規則を導入し、その規則の内側で事件を合理的に解決させる。

→ 「妄想」という札を貼りながら、中身は本格ミステリとして作る。

読者は、整合が取れているものを現実だと感じる。

本文の外側に、真相の一部を置く。

見返しに印刷された会話が、本来は本文中にあるべきものである。

→ 読者は見返しを「装飾」として読み飛ばす。

(T-小説/装丁と外装)

現実のパートを、短く挟む。

大部分が妄想であるため、現実のパートは相対的に小さく見える。

→ 分量の配分が、どちらが本体かの印象を作っている。

フェアプレイの担保

  • 題名で「妄想」と明示されている。これ以上ない予告である
  • 見返しの会話も、本を開けば読める位置にある
  • ⚠️ ただし、題名で妄想だと宣言している時点で、 読者がフェアプレイを当てにすること自体が成り立たない、という評がある

→ 予告があってもフェアとは限らない、という立場

効き目

  • 「妄想」と告げてなお成立する——予告の限界を試す作例
  • 妄想パートの整合性が高いため、読者は現実として扱ってしまう
  • 見返しという、通常は読み飛ばされる場所への配置

弱点・破綻しやすい点

  • 結末が「夢オチ」に見えるという評
  • 「妄想」と銘打たれているため、 そもそもフェアプレイの検討が意味を持たないという見方がある
  • ⚠️ 読後感が微妙になるという評価

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

関連する型叙述トリック短編集仮面山荘殺人事件倒錯のロンド

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