類別叙述トリック集成

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星降り山荘の殺人

倉知淳 / 1996

ネタバレ度:致命
メタ
叙述N-人物の属性N-逆手
媒体固有T-共通/予告と挑戦T-小説/注釈と但し書きT-小説/章題と目次
効果E-注釈は必要なことを全部書いているE-仕掛けは隠されているE-推理する人物が探偵役である
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

各章の冒頭に、作者からの注釈が置かれている。

その注釈は、読者に対して極めて親切である——

「この推理は当たっている」「この人物は犯人ではない」といった断りを、

章ごとに丁寧に与えてくれる。

注釈は、一度も嘘を書いていない。

注釈はこう告げる——「そこで本編の探偵役が登場する」。

その章で、ある人物が印象的に現れる。

推理をし、事件に踏み込み、場面の中心にいる。

読者はその人物を探偵役だと決める。

しかしその章には、別の人物も登場していた。

目立たない形で、一度きり。

注釈が指していたのは、そちらだった。

真相——探偵役は作家に付き添う秘書であり、

探偵役だと思われていた人物が犯人だった。

注釈は正しい。その章に探偵役は確かに登場している。

誤ったのは、「登場する」を「印象的に現れる」と読んだ読者のほうである。

騙しの技術

誠実さの装置を置く。

注釈は「作者が読者に嘘をつかない」ことの証明として働く。

毎章、正しい情報が与えられる。

読者は注釈を信頼する。信頼した上で、注釈が言っていないことを自分で補う。

語の解釈を読者に委ねる。

これが核心である。

注釈は「探偵役が登場する」としか書いていない。

「登場する」は、文字どおり画面に現れることを意味する。

だが読者は、それを「印象的に現れる」「主要な扱いを受ける」と読む。

注釈が使った語は正確である。読者が語を拡張したのである。

作者は何も足していない。読者が足している。

役割の目印を配る。

推理をする、現場に立ち会う、場面の中心にいる——

これらは探偵役の目印として読まれる。

だが犯人にも同じ行動が可能である。

目印を持つ人物が一人しかいなければ、読者は迷わない。 迷わないことが誤りの原因になる。

語り手を安全地帯に置く。

注釈は「語り手は読者と情報を共有しているから犯人ではない」と明言する。

この断りが正しいために、読者は他の断りも同じ強さで信じる。

フェアプレイの担保

効き目

注釈を削れば仕掛けは弱くなる。親切さは飾りではなく機構である

読者は自分の補完を責めるしかない

弱点・破綻しやすい点

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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