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ファイナルファンタジーVII

野島一成/スクウェア / 1997 / ゲーム

読者が誤認するもの

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層メタ
叙述N-人物の同一と別
媒体固有T-共通/語り手の信頼性T-ゲーム/プレイヤー=主人公の誤認
効果E-語り手は自分の属性を知っているE-映っているものは起きたことE-語り手は正しく知覚している

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

仕掛けの要約【ネタバレ】

主人公クラウドは、自分を神羅の精鋭部隊ソルジャーの元クラス1stだと名乗って登場する。物語の序盤、カームの宿で、クラウドは仲間に5年前の出来事を語る。ソルジャーとして英雄セフィロスとともに故郷ニブルヘイムの魔晄炉の調査に赴き、セフィロスが村を焼いた事件に居合わせた、という話である。この回想はプレイヤーが操作する場面として示され、画面の中のソルジャーのクラウドを動かし、会話を選び、戦闘をこなしながら事件をたどる。調査には顔をヘルメットで隠した一般兵が二人同行している。

真相では、ソルジャーとしてセフィロスに同行したのはクラウドの友人ザックスだった。クラウドはソルジャーになれず一般兵として同行しており、故郷の人々に失敗を知られたくないためにヘルメットで顔を隠していた。回想に映っていた一般兵の一人がクラウド本人である。その後の出来事で心を損なったクラウドは、ザックスの立場と自分の願望を混ぜて、ソルジャーとしての自分という偽りの記憶と人格を作り、ザックスのことを記憶から失っていた。

クラウドは嘘をついていない。本人がそう信じて語っている。誤った像を作ったのはクラウド自身の記憶の混乱で、作中にクラウドを騙してこの像を植えつけた人物はいない。

騙しの技術

語りを、操作できる場面に変える。 回想は主人公の語りとして始まるが、示される場面は現在の場面と同じ画面・同じ操作で進み、語られた過去と客観的な過去を見分ける印がない。プレイヤーは聞くだけでなく、自分の手でソルジャーのクラウドを動かして事件をたどる。語りの内容が、操作の手応えとして受け取られる。

真相の人物を、画面に映しておく。 本当のクラウドは、回想の中にずっといる。ただし顔を隠した名もない一般兵としてであり、プレイヤーには数えられない。隠さずに映したまま、注意の外に置いている。

語り手自身に、知らないことを知らせない。 クラウドは偽りの記憶を本当だと信じているので、言い淀みや隠しごとの気配がない。名乗りも回想も確信をもって語られる。

語り手の記憶の欠けを、別の謎に見せる。 回想は、セフィロスに立ち向かったところで途切れ、その先は思い出せないとクラウドは言う。欠けは事件の結末の謎として受け取られ、語り手が誰だったのかという問いには向かわない。

フェアプレイの担保

  • 回想に同行する顔を隠した一般兵が、事件の場面にずっと映っている
  • 語りの中でも、母との会話の中身が思い出せないなど、記憶が断片的であることが示される
  • 物語の途中から、主人公が突然の頭痛とともに断片的な映像を見る場面が繰り返される。他の人物には見えない主人公の内なる声も挟まる
  • 回想を聞いていたティファは、自分の記憶との食い違いに気づいているが口にしない。その態度が時折のぞく
  • 仲間の一人が、ソルジャー1stにクラウドという名の者は聞いたことがない、と食い違いを指摘する

真相を知って見直すと、カームの回想は、主人公が自分の居場所を友人の位置に重ねて語った話として通り、顔を隠した一般兵の姿にも意味が生まれる。

効き目

  • 回想の場面を自分の手で操作させているため、プレイヤーは聞き手ではなく当事者として、その過去を受け取る。語りの嘘ではなく自分の体験として信じたものが崩れるので、反転が主人公の自我の崩壊と重なって効く
  • 主人公がそもそも元ソルジャーという名乗りで登場し、その名乗りに沿って序盤を操作してきたことが、回想を疑わない下地になる
  • 真相の後、物語は主人公が自分を取り戻す過程に移る。仕掛けが謎解きの答えで終わらず、人物の物語の中心になっている

弱点・破綻しやすい点

  • 真相の手前で、作中で公然と疑われる。 仲間の指摘、ティファの沈黙、そして敵が見せる幻影と写真によって、回想の正しさは真相の場面より前に作中の問いになる。誤認がプレイヤーにだけ保たれているのは、回想から作中で疑いが出るまでの間である
  • 偽りの真相が間に挟まる。 敵は、クラウドの記憶は作り物で、クラウド自身が作られた存在だと告げる。これは作中の人物による騙しで、プレイヤーとクラウドは同じ経路で受け取る。本当の真相はその後に、ティファとともに記憶をたどり直す場面で示される。二段の反転は効き目を強めるが、どこまでが叙述の仕掛けなのかは見えにくくなる
  • 仲間たちもクラウドの話を聞いて受け入れている。語りの中身は作中の聞き手にも届いており、プレイヤーにだけ渡っているのは、その語りを操作できる場面として見せた部分である
  • 記憶の混乱の原因には、作中の世界の設定(細胞の性質や魔晄の影響)が絡む。設定の説明が多いぶん、真相が作り手の配置の妙ではなく設定の都合として受け取られる余地がある
  • 後の関連作やリメイクで、この事件は別の人物の目からも描き直され、真相は広く知られている。後から遊ぶ受け手にはまず効かない

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