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ゴースト トリック

巧舟/カプコン / 2010 / ゲーム

読者が誤認するもの

人物›人物の属性›種
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層メタ
叙述N-人物の属性N-語り手の正体
媒体固有T-ゲーム/プレイヤー=主人公の誤認T-共通/語り手の信頼性
効果E-語り手は自分の属性を知っているE-語り手は人間であるE-同じ絵/同じ声=同じ人物

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

先に作品にあたるなら、こちらから。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

ある夜、主人公は銃で撃たれて死に、記憶を失った魂として目を覚ます。そばには撃たれた男の死体が倒れている。主人公はこの死体を自分のものと考え、自分は誰で、なぜ殺されたのかを夜明けまでに突き止めようとする。死者のチカラ(物に取り憑いて動かす、死の数分前に時間を巻き戻す)を使い、ほかの人物の死を防ぎながら手がかりを集めていく。

物語の途中で、その死体が動き回っていることが分かり、主人公は自分があの男なのかを疑うようになる。この問いは作中で公然と立てられ、作中で答えが出る。

しかし、作中の誰も、主人公自身も立てない問いがある。主人公が人間かどうかである。真相では、主人公は人間ではなく、死体の男が飼っていた猫の魂だった。猫は冒頭の夜、同じ現場で撃たれて死んでいた。主人公は、目の前にあった唯一の死体を自分だと思い込み、その姿を自分の姿としていた。受け手は、主人公が「どの人間か」を探すのにつきあいながら、主人公が人間であることは一度も疑わない。

騙しの技術

  • 主人公自身が知らない。 主人公は自分を人間だと思っている。嘘をついているのでも、隠しているのでもない。記憶を失った魂として、目の前の死体から自分の素性を推理し、その推理を信じて語る。作中に、この点で主人公を欺いた人物はいない。作者は何も伏せる必要がなく、主人公が知らないことは書かれない
  • 主人公を、死体の男と同じ人の姿で描く。 主人公の魂は、自分のものと思い込んだ死体の姿を取っている。受け手が画面で見る主人公は、赤いスーツの人の姿である。姿が同じなので、受け手は主人公と死体の男を同じ人物と受け取り、その人物が人間であることを前提にする。作中では、死者の魂は好きな形を取れると説明されており、この姿は嘘ではない
  • 人と同じ言葉で話させる。 主人公は、ほかの死者とも、魂の声が届く生者とも、人の言葉で会話する。会話の形が人どうしのものなので、受け手は話し手を人と受け取る。死者どうしは言葉ではなく思考で通じ合うという作中の説明が、その裏づけを兼ねている
  • 異常を記憶喪失で説明させる。 主人公は字が読めず、身近な物の名前や使い道を知らない。受け手はこれを、記憶を失った死者の症状として受け取る。記憶喪失という設定が、人でないことを示す手がかりの受け皿になっている
  • 大きな問いを前に置く。 「自分は誰か」「誰に殺されたか」「あの死体は本当に自分か」という問いが、物語を通して前面に置かれる。受け手は主人公がどの人間かを考え続けるので、人間かどうかという問いが立たない

フェアプレイの担保

  • 字が読めないこと、人間の常識を知らないことは、早い段階から繰り返し示される。真相を知ると、記憶喪失の症状ではなく、もともと知らなかったことだと読み替わる
  • 主人公の台詞にも、二通りに読めるものが置かれている。暗闇を知らないかのような言い方、狭い所が落ち着くという言葉、鼠に気を取られる場面などが、真相のあとで猫の言葉として読める、と指摘されている
  • 死者の魂は好きな形を取れるという説明が、序盤で作中の死者の口から出ている。別の死者が、死後に自分の姿を他人のものと思い込む場面も置かれている。姿と中身が一致しないことは、主人公以外の例で先に見せられている
  • 主人公が死体を自分のものと考えた理由(その場にあった死体はそれ一つだった)は、冒頭で示される。推理の根拠が薄いことは、隠されていない
  • 冒頭の現場には、主人公の本当の身体も最初からあった、とされる

効き目

  • 「どの人間か」の問いに答えが出たところで、その問いの前提(人間であること)そのものが崩れる。答えを探していた受け手は、問いの立て方の側で誤っていたことになる
  • 真相のあと、字が読めないことや物を知らないことなど、記憶喪失の症状として受け取っていた細部が、まとめて別の意味に変わる
  • 姿と中身が別でありうることは、作中の規則として最初から示されている。受け手はその規則を、主人公以外の死者についてだけ使い、主人公には当てはめない

弱点・破綻しやすい点

  • 主人公の素性の謎は作中で公然と立てられ、作中で答えが出る。人間かどうかの誤認は、その謎の答えの一部として明かされる

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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