類別叙述トリック集成

一覧 / マスグレイヴ館の島

マスグレイヴ館の島

柄刀一 / 2000 / 小説

読者が誤認するもの

人物人物の隠匿聴き手の隠匿
詳しい分類を見る
メタ
叙述N-語りの階層
媒体固有T-小説/一人称の空白T-共通/語り手の信頼性
効果E-読者は物語の外にいるE-作品と現実は区別できる
手段M-暗号と記号

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

先に作品にあたるなら、こちらから。

仕掛けの要約【ネタバレ】

孤島で、暗号の解読と宝探しのイベントが開かれる。

作中には、「あなた」という呼びかけが何度も挿入される。

読者はこれを、自分に向けられたものとして読む。

語り手が読者に語りかける、メタフィクション的な演出だと解釈する。

そして終盤、「あなたがすべての犯人だ」という一節が置かれる。

真相——「あなた」は読者ではない。

登場人物の一人が、自分の腹の中にいる子に語りかけていた。

騙しの技術

二人称を、宛先を示さずに使う。

「あなた」は、日本語では宛先を明示しない。

→ 読者は、自分が呼ばれていると読む。

メタフィクションだと思わせる。

作中から読者へ語りかける形式は、実際に存在する。

→ 受け手は「そういう趣向の作品だ」と枠を決める。

そこで解釈が止まり、別の宛先を探さなくなる。

「あなたが犯人だ」で、解釈を確定させる。

読者は「自分が犯人だと言われた」と読む。

→ メタ的な仕掛けだという判断が、ここで固定される。

聴き手を、まだ生まれていない存在にする。

語りかけられている相手は、返事をしない。

→ 一方通行であることが、不自然に見えない。

フェアプレイの担保

効き目

弱点・破綻しやすい点

「語り手の呼びかけが“聴き手”に伝わっているとはいえない」

「客観的にみると成立しているといっていいのかどうか微妙」

「中途半端なメタフィクション性を感じさせられて鬱陶しく思った」

エピローグの締めの文が、明らかに読者に向けて語られている

→ 全編が別の相手に語られていたという設定と、整合しない

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

関連する型びっくり館の殺人ロートレック荘事件スルース

← 一覧に戻る