類別叙述トリック集成

一覧 / ある閉ざされた雪の山荘で

ある閉ざされた雪の山荘で

東野圭吾 / 1992 / 小説

読者が誤認するもの

人物人物の隠匿視点人物の隠匿
行為行為の誤認起きていない
詳しい分類を見る
メタ
叙述N-語り手の正体N-内心の帰属N-行為の偽装
媒体固有T-小説/記録という体裁T-小説/図版と付図
効果E-描かれたコマは客観的な記録E-事件には外部の犯人がいる

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

先に作品にあたるなら、こちらから。

仕掛けの要約【ネタバレ】

「地の文は嘘をつかない」という、小説で最も強い約束を突く作品。

物語は二種類の記述が交互に置かれる構成をとる。

ひとつは特定人物の独白として明示された部分、

もうひとつは誰の視点でもない客観的な記述に見える部分

読者は後者を「作品の外から書かれた記述」として読む。

地の文が嘘をつくことはありえないという前提があるため、

そこに書かれた出来事は起きたこととして受け取られる。

実際にはその部分も特定の人物の視点であり、

その人物は隠れた場所から状況を見ている

つまり客観的な記述ではなく、一人の主観だった。

そして、その人物が見ていたのは演じられた出来事である。

死んだと認識されていた者は誰も死んでいない。

騙しの技術

独白であることを、わざわざ明示する。

一方の記述には「これは誰それの独白である」と注記が付されている

読者はその対比によって、注記のない側を客観的な記述だと判断する

片方を明示することで、もう片方の性格を誤らせている。

地の文の約束を利用する。

小説において地の文は嘘をつかない、という了解がある。

作品はその了解に乗るだけでよく、自分では何も主張しない

見ている位置を、図で示しておく。

建物の見取り図に説明のつかない空間が描かれている。

読者はそれを謎として認識するが、そこが視点の在り処だとは考えない。

演技という設定を、表向きの枠として先に置く。

登場人物たちは殺人劇の稽古のために集まっている。

読者は「演技と現実が入り混じる」ことを警戒するが、

警戒の方向が最初から限定されている

フェアプレイの担保

効き目

弱点・破綻しやすい点

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

関連する型アクロイド殺し迷路館の殺人

← 一覧に戻る