類別叙述トリック集成

一覧 / 鴉

麻耶雄嵩 / 1997

ネタバレ度:致命
メタ
叙述N-逆叙述N-身体的条件の隠匿N-語り手の正体N-人物の同一と別N-時間の順序
媒体固有T-小説/呼称の揺れT-小説/一人称の空白
効果E-別の名前は別の人物E-語り手は名前で示された人物E-語り手は正直
媒体小説

⚠️ このページは作品の核心(真相)に触れます。未読・未視聴の場合はご注意ください。

まだ読んでいない方へ。この下は真相に触れます。

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仕掛けの要約【ネタバレ】

同じ作者の TDB-0021 と同様、向きの異なる仕掛けが二つ重なっている。

ひとつは閉ざされた村の住民に共通する色覚の特性。ある色の区別がつかないという条件が、

村人には自覚されていない。読者にはその事実が示され、作中人物のほうが気づいていない——

通常の叙述トリックとは向きが反対の型で、犯人の絞り込みに直結する。

もうひとつは語り手そのもの。語り手が名乗る名と、その実体が食い違っている。

さらに、語り手が探している人物は実在しない

騙しの技術

「別の名前で呼ばれている=別人である」という前提を使う。

複数の名で呼ばれる人物がおり、読者はそれを別々の人間として蓄積する。

名前の使い分けによって、同一性と時間の隔たりが同時に隠される

語り手の一人称と、周囲の呼びかけをずらす。

語り手は一貫して特定の名を名乗るが、それが実体と一致しているとは書かれていない。

村の条件を、風習・信仰の描写に紛れ込ませる。

色覚の特性は、閉鎖的な共同体の異様さを描く記述の一部として提示される。

読者はそれを雰囲気づくりとして読み、推理の材料として扱わない

フェアプレイの担保

効き目

弱点・破綻しやすい点

語り手の名が実体と異なるなら成立しないはずの、家族の呼びかけの記述が本文にあると指摘されている

逆叙述は、作中の出来事に影響しないと技巧の披露に見えてしまう

読み返してみませんか。

仕掛けを知ってから読むと、同じ記述が別の意味で通ります。

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