仕掛けの要約【ネタバレ】
閉鎖空間で行われる降霊イベントを舞台に、参加者が次々と不可解な死を遂げる。
読者は、コマに描かれた異様な光景をそのまま超自然的な出来事として読む。
しかし描かれているものは、幻覚でも漫画的な表現でもなく、実在する光景である。
絵は正確であり、誤っているのは読者の解釈のほう。
別の読み方をすれば、同じ絵がすべて現実の光景として整合する。
題名が指しているのはこの構造そのものである
(「アナモルフォシス」は、歪められた像を円筒鏡や特定の視点から見ることで
正しい形に見せる図法を指す語)。
騙しの技術
絵を正確に描いたうえで、解釈だけを誘導する。
文章の叙述トリックが「書かないこと」で成立するのに対し、
本作は描かれているものは全部正しい。読者が図像に対して唯一の読み方を当てはめることを利用する。
超自然という枠を先に提示する。
降霊イベントという設定が最初に置かれるため、異様な図像は
「霊による現象」という枠で自動的に処理される。
読者は別の解釈を探す動機を持たない。
説明のつかない現象を積み上げる。
荒唐無稽さが増すほど、読者は「これは現実の説明がつかない話だ」と判断し、
現実的な読み替えの可能性を捨てる。
フェアプレイの担保
- 描かれた図像に嘘はない。再読すると矛盾なく別の意味で読めるという評価が複数ある
- 荒唐無稽に見える現象に対して、最後に整合的な解決が与えられる
- 題名が仕掛けを指しており、事前に手がかりが提示されている
効き目
- 不可思議な現象が視覚化されて提示されるため、同じ内容を文章で読む場合よりも
現象そのものの異様さが強く出る、という評価がある
- 荒唐無稽な見かけに反して解決が与えられる構造が、読後の反転を大きくしている
- 題名が仕掛けを指しているため、真相を知ったあとに題名の意味が変わる
弱点・破綻しやすい点
- 他媒体に移せない。 図像の多義性に依存しているため、文章では成立しない
- 荒唐無稽さを積み上げる構成は、その時点で読者を降ろしてしまう危険がある
(実際、途中で「これはミステリではない」と判断されうるという評がある)
- 一度この型を知った読者は、以後この作者の絵を疑って読むようになる
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